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観測局呼出方式の電源装置計算
直流電源装置の蓄電池容量計算
１、設計条件
観測局（２量型、送信出力10Ｗ）の容量計算
１－１、システム条件
ａ． 監視局 1 局
ｂ． 観測局数 30 局
ｃ． 観測条件
ⅰ） 観測時間間隔 10 分観測
ⅱ） 保守 1 回 ／ 5 日 （ 送信 5 分、 受信 5 分 ）
ｄ． 負荷条件
ⅰ） 待受電源（Ｉ１） 50 mA
ⅱ） 受信電源（Ｉ２） 700 mA
ⅲ） 送信電源（Ｉ３） 5.5 A （送信電力 10 W ）
ｅ． 計算条件 2 量型、 1200 bps（応答間隔 600 ms）
ｆ． 停電日数 5 日間
１－２、放電時間の算出条件
　他の観測局が発射する電波が、全ての観測局で受信できるものとする。
　観測局は１回目の呼出信号受信から一連の一括呼出シーケンスが終了するまで電源が投入されるので最も電力消費が多いのは最終応答局である。つまり、受信していなくてもタイマカウント中は受信時と同じ電流を消費する。そのため、最終応答局について計算するものとする。
　なお、途中の局も他局の送信電波を受信するので、最終局との消費電力差は殆どない。
１－３、動作タイミング
　 受信時 　
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　
　 　 送信時
　 　 観測呼出受信 　 　 タイマカウント中 　 送　信
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　
　 2.45 s ( 1200 bps) 　 0.6 s × 29 局 = 17.4 s 　 515 ms 　
　 　 ( 1200 bps) 　
　 　 　 　
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　
２、送信時間の計算
送信時間（Ｔａ）
＝ 返信信号送信時間［秒］×5日間の呼出回数＋保守時間（送信）
＝ 0.515 秒 × 6 回 ／ 時間 × 24 時間 × 5 日 ＋ 5 分
＝ 370.8 秒 ＋ 5 分
＝ 11.18 分
≒ 0.19 時間
３、受信時間の計算
計算式＝ （自局呼出時間＋他局返送時間×他局数）×5日間の呼出回数
ａ． 観測時＝ （ 2.45 秒 ＋ 0.6 秒 × 29 局 ） × 6 回 ／ 時間 × 24 時間 × 5 日
＝ 14292 秒
ｂ． 保守時＝ 保守時間（受信）＋他局保守時間×他局数
＝ 5 分 ＋ （ 10 分 × 29 局 ）
＝ 295 分
受信時間（Ｒａ）
＝ 観測時＋保守時
＝ 14292 秒 ＋ 295 分
＝ 533.2 分
≒ 8.89 時間
４、蓄電池の容量の計算
ａ． 蓄電池の条件
ⅰ） 使用蓄電池 ＭＳＥ型鉛蓄電池
ⅱ） 電圧 12 Ｖ （公称）
ⅲ） 保守率 Ｌ ＝ 0.8
ⅳ） 最低蓄電池温度 -5 ℃
ⅴ） 許容最低電圧 1.9 Ｖ ／ セル
許容最低電圧＝ （ 12 Ｖ － 10 ％ ） ＋ 線路等による電圧降下
セ　　ル　　数
ｂ． 放電電流と放電時間
　 　 　 　 　 T1 　 　 　 　 　
↑ 　 　 　
　 　
電流 　 　 T2 　 　
　 　 　
　 　 　 T1= 120 h
　 　 　 T3 　 　 T2= 9.08 h
　 　 　 　
I3= 5.5 A 　 　 　 　 T3= 0.19 h
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　
　 　 　 　 下記放電時間算出による
　 　 　 　
　 　 　 　
I2= 0.7 A 　 　 　 　 　
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　
　 　 　 　 　
I1= 50 mA 　 　 　 　 　 　
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　
（放電時間）
・Ｔ１＝ 停電時間 ＝ 5 日 × 24 時間 ＝ 120 時間
・Ｔ２＝ 受信時間（Ｒａ）＋Ｔ３ ＝ 8.89 ｈ ＋ 0.19 ｈ ＝ 9.08 時間
・Ｔ３＝ 送信時間（Ｔａ）＝ 0.19 時間
ｃ． 容量換算時間
　蓄電池の放電時間（Ｔ）対容量換算時間（Ｋ）特性表から各放電時間に対するＫの値を求める。
　容量換算時間は、放電時間、放電終止電圧及び最低使用電池温度の条件から決まる係数で、理論値でなく経験的な値であり、実放電時間を上記条件下で流すときの割増容量を時間延長で換算した仮想の時間である。
　ただし、放電時間（Ｔ）が非常に長い場合の容量換算時間（Ｋ）は、次式によって求める。
Ｋ ＝ Ｋｍ－Ｔｍ＋Ｔ
Ｋ ： 放電時間（Ｔ）に対する容量換算時間（時）
Ｋｍ ： 特性表で示されている最大の放電時間（Ｔｍ）に対する容量換算時間（時）
　放電時間Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３に対する容量換算時間を各々Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３とし計算すると次のような値になる。
Ｋ１ ＝ （ 10 － 5 ） ＋ 120 ＝ 125 h
Ｋ２ ＝ （ 10 － 5 ） ＋ 9.08 ＝ 14.08 h
Ｋ３ ＝ ＭＳＥ型鉛蓄電池の標準特性表より 1.95 h
ｄ． 蓄電池の容量計算
Ｃ ＝ 1 ｛Ｋ１×Ｉ１＋Ｋ２（Ｉ２－Ｉ１）＋Ｋ３（Ｉ３－Ｉ２）｝
Ｌ
Ｃ ： 蓄電池容量（Ah）
Ｌ ： 保守率（0.8とする）
Ｋ ： 容量換算時間（h）
Ｉ ： 放電電流（A）
Ｃ ＝ 1 ｛ 125 h × 0.05 A ＋ 14.08 h （ 0.7 A － 0.05 A ）
0.8
＋ 1.95 h （ 5.5 A － 0.7 A ） ｝
＝ 30.95 Ah
したがって、 30.95 Ah以上の蓄電池が必要である。
これを市販のＭＳＥ鉛蓄電池から選定すると、 50 Ahとなる。
ＭＳＥ型鉛蓄電池の容量
電池工業会形式 容　　　量
ＭＳＥ５０－１２ 　 　 50 Ah 　 　 　
ＭＳＥ１００－６ 　 　 100 Ah 　 　 　
ＭＳＥ１５０ 　 　 150 Ah 　 　 　
ＭＳＥ２００ 　 　 200 Ah 　 　 　
ＭＳＥ３００ 　 　 300 Ah