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鉄 骨
材 料
No. 11 チェック チェック内容 ボルト・ナット,高力ボルト・高力ナットの種類とその材質の確認を行ったか
詳細説明 備考・記録
 高力ボルトは規格証明書の確認を行うことが大切である。ボルト・ナット・座金の種類ごとにJISで規定されている規格を以下に記す。                                                          
   
 1) 六角ボルト・六角ナット    
   ボルト,ナットおよび座金は、設計図書の仕様で特記がある場合は特記による。特記がない場合はJIS規格に基づいた製品を用いる。
 仕様書の検討時、市場の状況を確認し発注前に規格の適用の可否を調べる必要がある。呼び径六角ボルト−並目ねじ−の強度区分(JIS B 1180-2004)にJIS B 1180による呼び六角ボルト(鋼)の部分等級に対する強度区分の組合せを示す。呼び径六角ボルト−並目ねじ−の公差域クラス(JIS B 1180-2004)は同附属書によるねじの等級と強度区分を示す。鋼ボルトの機械的性質(JIS B 1051-2000)は鋼ボルトの機械的性質を示す。六角ナット−並目ねじ−の強度区分(JIS B 1181-2004)にJIS B 1181によるナットの形式と等級を示す。六角ナット−並目ねじ−の公差域クラス(JIS B 1181-2004)は同附属書によるナットの等級を示す。鋼製ナットの機械的性質(JIS B 1181-2004)にナットの機械的性質を示す。
 ボルト,ナットおよび座金の組合せは規定されていないので、整合のよい組合せで使用する必要がある。ボルトを組み合わせるナットは、表の強度区分より高いものを用いてもよいことも記載してある。ボルトの長さは、締付け長さに応じ締め付け後ナットの外側に2〜3山程度ねじ部が出るように決める。
 外観上のチェックは全数について目視を行い、表面に使用上有害な割れ・傷などの欠陥があるものを取り除く。
 受渡し検査は、当事者間の協定により、ロットの抜取り検査方法を決める。検査はJIS Z 2201,JIS Z 2241,JIS Z 2243またはこれに準ずる。
 製品の呼び方は、鋼ボルトの場合、規格番号,ボルトの種類,部品等級,ねじの呼び×呼び長さ,強度区分,材料,指定事項による。ナットの呼び方は、規格番号,種類,形式,部品等級,ねじの呼び,強度区分,材料,指定事項による。
   
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
 2) 摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット    
   ボルト,ナットおよび座金はJIS B 1186に、セットで規定されている。セットの構成は、ボルト1個,ナット1個,座金2個である。セットの種類および適用する構成部品の等級の組合せはセットの種類,および適用する構成部品の等級の組合せ(JIS B 1186-1995)による。ボルト頭およびナットの上面にはそれぞれの機械的性質による等級を示す記号がつけられているのでこれを確認する。
 セットの種類は1種(F8T),2種(F10T),3種(F11T)の3種類が規定されているが、3種は遅れ破壊の可能性が否定できないなどの理由で、なるべく使用しない。
 ボルトの機械的性質は、ボルト製品から採取した試験片および製品について試験したときそれぞれボルト試験片の機械的性質(JIS B 1186),ボルト製品の機械的性質(JIS B 1186)の規定値に適合しなければならない。なお、衝撃値を特に必要とする場合は、受渡し当事者間の協定による。またボルトの引張試験を行ったものについて、受渡し当事者間の協定によって硬さ試験を省略することができる。製品の試験では、引張荷重未満で破断することなく、引張荷重を増加したとき頭とびをしてはならない。製品の引張試験の治具を引張試験の治具(JIS B 1186)に示す。
 ナットの機械的性質は、製品について試験したときナットの機械的性質(硬さと保証荷重)(JIS B 1186)の規定に適合しなければならない。座金の機械的性質は、製品について試験したとき座金の硬さ(JIS B 1186)の規定に適合しなければならない。なお、座金は、浸炭焼入れ焼戻しなどによって表面硬化をしないものとする。
 セットのトルク係数値は、規定により試験した場合セットのトルク係数値(JIS B 1186)の規定に適合しなければならない。この場合、トルク係数値は次の式によって求める。
   
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
  K= T ×1000      
  d×N      
   ここに、
 K:トルク係数値
 T:トルク(ナットを締め付けるモーメント)(kN・m)
 d:ボルトのねじ外径の基準寸法(mm)
 N:ボルト軸力(kN)
   
     
     
     
     
   トルク係数値のA種,B種の違いは、ナットや座金の表面処理の違いによる。A種は、一般にナットに表面潤滑処理を施してトルク係数値を低くするとともに安定させるようにしている。しかし、温度が変化するとトルク係数値が変動する傾向があり、製造工場によってもその差があるので、施工時の条件に十分注意しなければならない。B種は、防錆油塗布のままで特に表面潤滑処理は施されていない。高力ボルトのセットは、高力六角ボルトのセットのJIS表示許可工場に示すJIS表示許可工場で製造されているので、特に試験を行わず、社内検査成績書の確認で品質の確認ができる。    
     
     
     
     
     
     
     
 3) 溶融亜鉛めっき高力ボルト    
   露出構造物や海岸地域などで部材に溶融亜鉛めっきを施し、耐久性を向上させることがある。その部材の接合には溶融亜鉛めっき高力ボルト摩擦接合が使われる。使用する高力ボルトは、建築基準法第37条の規定により国土交通大臣の認定を得る必要がある。
 めっき高力ボルトの機械的性質はF8T,めっきナットの機械的性質はF10,めっき平座金の機械的性質はF35となっていて、いずれもJIS B 1186の規定に準ずる。めっき付着量は550g/m2以上とし、部材のめっき付着量との整合を図っている。溶融亜鉛めっき高力ボルト(建設省住指発第1号,昭59.1.12)に溶融亜鉛めっき高力ボルトの内容を示す。
   
     
     
     
     
     
     
     
 4) 特殊高力ボルト    
   JIS B 1186に規定された高力ボルト以外に、ボルト・ナットあるいは座金に工夫を施した特殊な高力ボルトがある。これらを使用する場合には、国土交通大臣の認定を得る必要がある。
 特殊高力ボルトのうちでも、ボルト軸先端部にピンテールを加工したトルシア形高力ボルトは、現在建設工事で最も使用実績があり、日本鋼構造協会規格JSSU09(構造用トルシア形高力ボルト・六角ボルト・平座金のセット)が定められ、大臣認定を受けているメーカーも多い。トルシア形高力ボルトの種類と等級をトルシア形高力ボルトの機械的性質による等級に示す。ボルトの機械的性質のうち、ボルトから採取した試験片の機械的性質はボルト試験片の機械的性質(JSSU09)の規定に適合しなければならない。製品の機械的性質はボルト製品の機械的性質(JSSU09)に示す引張荷重未満で破断することなく、引張荷重を増加したとき頭とびをしてはならない。常温時のセットの締付け軸力は常温におけるトルシア形高力ボルトの導入ボルト引張の平均値と標準偏差の規定に適合しなくてはならない。トルシア形高力ボルトは、ボルトの頭下に座金を用いないので、同じ締付け長さに対してJIS B 1186に規定したボルトより5mm短いものを用いる。