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鉄 骨
高力ボルト接合
No. 56 チェック チェック内容 摩擦面をチェックし矯正の確認を行ったか
詳細説明 備考・記録
 接合部の摩擦面の状態は、高力ボルトが所定の性能を発揮するための重要な要因なので入念にチェックしなければならない。チェックすべき点は、摩擦面のミルスケールの除去・錆の発生状態・乾燥状態,部材の曲がり・歪みの矯正の確認,フィラープレートの挿入が必要かの判断と隙間寸法の確認,ボルト孔のチェックなどである。以下に詳細を記す。                                                          
   
   
   
   
 1) 接合部のミルスケールは完全に除去されているか    
   摩擦面の状態は、鋼材のミルスケールを除去して、赤錆の発生した状態が最もよいとされている。したがってショットブラストあるいはディスクサンダーなどによって接合面のミルスケールを取り除き、同時に孔あけ時に出たまくれなども取り除く。    
     
     
     
 2) 接合部の摩擦面の状態を確認したか    
   所定のすべり係数値を得るため、部材の摩擦面には必要な摩擦係数(μ=0.45以上)がなければならない。そのため摩擦面の発錆状態,油・ごみなどの付着物がないこと,摩擦面に塗装がされていないかなどの確認をしなければならない。    
     
     
     
 3) 錆の発生状態のチェック    
   前述のように、摩擦面に赤錆の出た状態が最もよいが、長時間放置しておくと浮き錆になる。これは摩擦係数値が著しく低下するので、ワイヤーブラシなどで取り除く。また錆が発生しても、1週間以内の若齢の錆は摩擦係数値が低い。2週間程度の発生期間が必要といわれているので、製作工程にこの期間が確保できるよう計画しなければならない。    
     
     
     
     
 4) 摩擦面の乾燥状態のチェック    
   接合部の乾燥状態が悪いと、高力ボルトのトルク係数に大きな影響を与えるので注意しなければならない。特に雨上がり後は、添板やフィラープレートの間に毛細管現象で水がしみ込み、鉄骨表面が乾燥していても摩擦面がぬれていることがあるのでよくチェックする。    
     
     
     
 5) 部材の矯正の確認    
   部材の曲がりや歪みなどがある場合はこれを矯正してやる必要がある。このとき摩擦面を傷めないように注意する。また摩擦面の歪み,笠折れ,ボルト孔のまくれも完全に取り除く必要がある。    
     
     
 6) フィラープレートなどの挿入の確認    
   板厚が異なる部材の接合部や、歪みが十分矯正できなかった場合,また製作誤差で部材成が合わない場合,摩擦面に肌すきを生じる。このようなときで肌すきが1mmを超える場合は、フィラープレートを挿入し、摩擦面を接着させる。フィラープレートの両面とも所定の摩擦係数が得られるよう、処理しておく必要がある。    
     
     
     
     
 7) ボルト孔のチェック    
   高力ボルトの孔は、径によってクリアランスが異なる。建築基準法施行令第68条に定められており、ボルト軸径27mm未満は2mm,ボルト軸径27mm以上は3mmのクリアランスとなっている。部材組立て時に生じたボルト孔の食違いは、リーマ掛けして修正する。ただし、2mmを超える食違いは係員と協議して定めなければならない。
 ボルト孔には最小縁端距離が定まっているので、これを満足する必要がある。