詩集2

 地元の新聞等に投稿した真面目系の詩集です。(その2)

タイトル 発表年 発表先 備考
キツツキがくれたヘルメット 2000年4月 高知新聞・高新文芸  
今のボクにできること 2003.04.02 未発表作  
進化 2003.03.16 未発表作  
死を考える夢男さん 2000年1月 ぶんりき・死の詩コンテスト 二次予選通過
ダイレクトメール 2000年4月 高知新聞・高新文芸  
パレットの女たち 2000年1月 ぶんりき・23巻  
サンタクロースの恋人 2000年1月 高知新聞・高新文芸  
1999年12月 高知新聞・高新文芸  
1999年12月 高知新聞・高新文芸  
三匹目のバク 2000年2月 ぶんりき・24巻 月間銅賞
風が帰る場所 2003.02.24 未発表作  
時間の扉 2003.02.08 未発表作  
秋  空 1999年11月 高知新聞・高新文芸  
十月二十六日の雨 1999年11月 高知新聞・高新文芸  
かまきり 1999年11月 高知新聞・高新文芸  
遠ざかる月 1999年11月 高知新聞・高新文芸  
位  置 1999年10月 高知新聞・高新文芸  
不器用なペンギン 1999年10月 ぶんりき・20巻  
神話崩壊 1999年10月 高知新聞・高新文芸  
金曜日のワイン 1999年10月 高知新聞・高新文芸  



キツツキがくれたヘルメット(2000・4月)

林の中を歩く僕の耳に
コゲラの鳴き声が聞こえる
見上げると
木々の間をせわしく移動しながら
コゲラが木の幹や枝をつついている
コツコツコツコツ コツコツコツコツ

そういえば昔キツツキを見て
何故キツツキは脳に振動が伝わらないんだ?
そう思った人が
キツツキを解剖し脳の中が中空の
スポンジ状になっている事を見つけ
今のヘルメットを開発したそうだ

そんな事を考えながら見上げる僕に
気付いたのか気付かないのか
コゲラは僕の近くから飛び去り
緑の中へ消えていった
僕は林を抜け出しバイクに乗り家に向かう
キツツキがくれたヘルメットをかぶって

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今のボクに出来ること (2003.04.02)

今のボクに出来ること
こだわりでもなく
プライドでもなく
自分を信じて
自分に出来る事からはじめよう

ボクは何にあせっているのだろう
ボクは何に追い詰められているのだろう
ボクの周りを取り巻く時間は
怒っても笑っても
うれしくても悲しくても
同じ分だけしか進まないのに・・・

だったら今日までこの時間までの
ボクを信じてみよう
まだ来てもいない未来にあせっても
しょうがないじゃないか
だって未来はまだ気持ち次第で
変わる混沌の中にあるのだから

だからボクらしく
ボクに出来る事から
進もうもう一度
ゼロから始まるつもりで・・・

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進化 (2003.03.16)

戦争が始まろうとしている

戦争をしようとしている人がいる
戦争と止めようとしている人がある

未来の安全の為に戦争をしたとして
関係の無い人達が傷付けられたら
戦争を止めようとしている人達は
平和の重要さを声高に叫ぶだろう

もし戦争を回避して
その後独裁者が暴走したとしたら
戦争をしようとしている人達は
鬼の首を取ったかの様に
戦争の重要さを叫ぶだろう

結局どちらに転んでも
平行線のままでは
何も残らないのに

IFの中で人は疑い
人は傷付ける
人は未来を想像出来る分
自分にだけ安全な様な
未来を想像したがる

けど人間はDNAで例えると
アフリカで生まれた
たった一人のイヴから生まれた
共有された存在なのだという
ネアンデルタールでもなく
ジャワ原人でもなく

そうするとそのイヴは
戦いのDNAと
わがままのDNAを
強く子孫に引き継いだのだろうか
けどその時はそれで
仕方なかったのかもしれない
混沌とした中で
生き抜く為には

けどその後もそのDNAは
無くなる事はなかったので
人は無意味な争いのプログラムを
実行しているのかもしれない

すると進化論から言って
次のイヴはもっと違った次元の
生物を生み出すのかもしれない
ひょっとしたら
特殊な能力を駆使して
新たな時代を切り拓くのかもしれない

そうなると今のままの我々は
結局進化したDNAに捕えられ
檻の中へ閉じ込められる
存在になっていまうのかもしれない
そして動物園のいきものの様に
見世物になってしまうのかもしれない
滅びの原因を起こす愚かな生物として
希少種扱いを受けて・・・・

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死を考える夢男さん (2000年1月)

死を考える     夢男さん
あなたは何人   空想で
人を殺して     生きました?
右手に握る     そのペンで
架空の犯罪     しましたか?

死を考える      夢男さん
あなたは何度    空想で
自分を殺して    生きました?
どんな形の      ヒーローで
自分にジ・エンド  つけました?

死を考える      夢男さん
僕も今夜は     空想で
友人二人       消しました
そして華麗な    死に方で
僕にジ・エンド    つけました

人は誰もが      最高の
死というカードに   憧れる
僕も結局       空想の
死を考える      夢男さん

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ダイレクトメール (2000年4月)

僕はラッキーボーイ
僕は幸運な人
そんな幸せな言葉の羅列が
洪水のようにあふれている

ただしそれにはお金が必要だ
お金さえ払えば
幸せになれるらしい

そんな都合のいい幸せなんて
あるはずがない
あるとするなら
僕のお金を吸い取って
ラッキーボーイになる
DMを出した人達だろう

だから僕は
ラッキーボーイになる権利を
ごみばこに捨てて
平凡な僕になる

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パレットの女たち (2000年1月)

長髪が似合うよと言われ
髪を伸ばしてみた
短い髪が似合うよと言われ
髪を短く切ってみた

君に似合う男に変わったとたん
君はここにはいなかった
君色に心が染まるほどに
君の心は遠ざかっていった
そして俺の心のパレットに
君の色がいつも一つだけ残っていった

俺のパレットの色が増えるたびに
俺は男のズルさを覚えた
君色に染まらない俺を感じるたびに
俺は男の駆け引きを知った

何も知らなかった俺を
ズルい一人の大人の男に変えていった
パレットの女たち

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サンタクロースの恋人 (2000年1月)

君はサンタクロースの恋人だった
十二月になると君は魔法にかかり
サンタクロースに連れ去られてゆく
運命だった事を僕は知らなかった

何も知らなかった僕は
いろんな夢を描いた
今年のクリスマスのこと
これからのこと
けどもうその夢は叶わない
君はサンタと未来を歩き始めたから

何故こんな事になってしまったのだろう
突然心変わりした君のせいだろうか
強引に君を連れ去った
サンタクロースのせいだろうか
それとも
まじめしか取り柄がなく
君を退屈させた
僕のせいだろうか

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 (1999年12月)

測量作業をしている
僕の近くを大きな鳥が通過する

鳶かな?
そう思って見たのだが
鳶より少し小さいし
飛び方も違う

僕は思わずその鳥の行方を
設置してあった
トランシットで追跡した
それは一羽の隼だった

僕はなんとなく
うれしくなった
初めて隼の姿を
この目で見たからだ

ぼくは少しだけ笑顔になって
また測量作業を続けた

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 (1999年12月)

休耕田のわきに
一本の柿の木がありました
いつからこの柿の木は
人間に見放されたのでしょうか
荒れ果てた休耕田が
その長い長い月日を
物語っています
しかし柿の木は
人間からは忘れられましたが
新しいたくさんの友達を作りました
ヒヨドリ
ムクドリ
スズメ
カラス・・・
新しい友達は
今日も楽しくおしゃべりをしています
燈色に輝くデザートを食べながら・・・
そして柿の木もこの新しい友達と
楽しい時間を過ごしているように見えました
ずっと・・・ずっと・・・

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三匹目のバク (2000年2月)

夜になるとまた暗闇がボクを食べようとします
暗闇の中に何がひそんでいるのかボクには分からない
けど暗闇の住人は数匹のバクを黄金の鎖につないだままやってきて
ボクの頭の中で黄金の鎖を外して去ってゆきます
するとボクの頭の中で増え続けていた
羊の群れがだんだん溶けてゆきます
そして逃げる羊をバクが口を開けて吸い込んでゆきます
暗闇の住人は今晩三匹のバクをボクの頭の中に放ちました
だからボクは今晩三つの夢を見る事でしょうか?

ボクは羊が消えた後スーパーマンに変身しました
そして怪獣ヒヒゴンを倒し空へと飛び立ちました
すると一匹目のバクが立ち上がり
その風景を食べ始めそしてその風景を全て食べ終えると
一匹目のバクは眠り始めました

次のボクは一頭のザトウクジラになり
太平洋を泳いでいました
そして泳ぎ疲れた頃二匹目のバクが立ち上がり
太平洋を食べ始め
そして全ての海の青を食べ尽くすと
一匹目のバクのとなちに寄り添って眠り始めました

三匹目のバクがボクを見つめています
しかしゆうべは寝苦しい夜でなかなか眠れなかったせいか
朝のタイムリミットが近付いているようです
三匹目のバクがボクを見つけています
ボクに三つ目の夢を見てくれと願うように見つめています
暗闇の住人の黄金の鎖の音がだんだんと近付いています
そしてボクが三つ目の夢を見る前に暗闇の住人がやってきて
三匹のバクを黄金の鎖につないで去っていきました
三匹目のバクは何度もボクを振り返り振り返り去ってゆきます

そしてボクは目覚めました
しかし何故かゆうべの出来事を覚えていました
普通夢の出来事は記憶に残らないというのに
覚えているという事はたぶん
三匹目のバクの未練がそうさせたのかもしれません

バクくんごめんね今日は早く眠るようにして
君にも満足する夢を見るからね
そうボクは心の中で小さく誓ってベッドから立ち上がった
そして今日のボクはここから始める・・・

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風が帰る場所 (2003.02.24)

僕の前から遠ざかる風は
目の前にある太平洋へ消えてゆく

その中には僕の一瞬の
喜怒哀楽も詰め込んで
海へ流れてゆくのだろう

そしてその風は
地球の自転の回転にのって
海に溶け
山に溶け
僕の汚れた二酸化炭素を吸収して
また酸素に変え
たくさんの人たちとその空気は交換して
流れてゆく・・・

たくさんの人と接する空気なら
もっと人に勇気付ける思いと共に
太平洋に流さなきゃ・・・

僕がおだやかな時間を過ごすこの一瞬も
世界の何処かで
憎しみの導火線に火を付け様とする人や
争いの悲しみの渦に包まれる人もいるのだから

存在全てにバランスがあるのなら
まだ思いに自由の意志のある僕が
日々の下らない人間関係や
どうでもいい出来事に
囚われてはいけない様な気がする

だってこの僕もこの旅して帰ってきた風に
癒される事もあるのだから

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時間の扉 (2003.02.08)

五分前の僕は
永遠の時間の扉のどの部分に
格納されてゆくのだろう
そしてその僕をアーカイブから引き出すのは
未来の誰なんだろう
人間の未来も過去も
アーカイブの中に存在して
僕はその一瞬だけのマリオネットかも知れない
その操る糸を断ち切れず
今日も動かされ続ける・・・
けどそれならばどうして
僕の脳にはたくさんの喜怒哀楽の
パンドラの箱が収められているのだろう
この中に時間の扉を打ち壊す
キーワードが隠されているのだろうか
だったら僕はこの時間の何処を
彷徨えばいいんだろう
流星の様に駆け抜ける
この時間の連鎖の中で・・・

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秋  空 (1999年11月)

空は
いつから
秋になった事を
自覚するのだろう?

この間まで暑いねと
言っていたはずなのに
急に涼しくなったと
言い始めて
見上げてみると
もう天は高い・・・

いつから空は
遠ざかったのだろう
昨日までの僕は
何も気付いていなかった
空が高くなっていた事に
空が遠くなっていた事に
そして僕の体を抜ける風も
もう冬の鋭さを
身に付けようとしていた

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十月二十六日の雨 (1999年11月発表作)

雨は何を洗い流してくれるのだろうか
僕の犯した小さな罪だろうか
それとも
僕の心の中に潜んでいる
見えない将来への不安だろうか

僕は雨に何を望んでいるのだろうか
何もしなかった
何も行動しなかった
僕自身への怒りを
変えてほしいと雨に願っているのだろうか

今日一人知人が死んだという事実を
新聞で知りました
今日の雨は
死者の悲しみを消し去る雨でしょうか
それとも未来への一歩の為の
希望の雨でしょうか
十月二十六日の夜また雨が強くなりました

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かまきり (1999年11月発表作)

もっとダッシュしろ!
もっとダッシュしろ!
車のタイヤの右がくるぞ
車のタイヤの左がくるぞ

もっとダッシュしろ!
もっとダッシュしろ!
50ccのスクーターがくるぞ
大型のトラックがくるぞ

ジャブもいらない
フックもいらない
シャーのポーズなんかもいらない
飛べるんなら
早く飛ぶんだ

けどどうしておまえは
国道の真ん中にやってきたんだ?
もっとダッシュしろ!
早く逃げろ!

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遠ざかる月 (1999年11月発表作)

満月になるといろいろな現象が起こる
サンゴの産卵
カニなどの生物の産卵
女性特有の周期
出産も犯罪も満月に多いと聞く

何故だろう?
何故なんだろう?

子供の頃
アポロ計画などに
夢を膨らませて育った僕にとって
月はだんだん
僕の手に近付いてくる様な存在だった

しかし実際はNASAの実験によって
月は年 3.82cm 地球から
遠ざかっているらしい
・・・という事は
僕の生きた三十年位で
1m以上遠ざかっているという事か・・・
また遠くへ行ったんだね
月のうさぎさん

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位  置
 (1999月10発表作)

人は傷付き
傷付け合って
自分の位置を
確認している

僕も今日の
自分の置かれた
位置を
確認する為に
たくさんの人を
傷付けて
いるのだろう

そして僕は
無意識に
人を傷付けて
何を確認しようと
しているのだろう
そして僕は何になろうと
しているのだろう

分からない
けど時間だけは
同じ分だけ
無常に過ぎてゆく
僕の体内を
鋭く突き刺しながら

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不器用なペンギン (1999年10月発表作)

ボクは飛べないペンギン
だから大空を見上げ呼吸する

ボクはバランスの悪いペンギン
だから防波堤を両手でヤジロベエして
ゆっくりと前進する

ボクは鈍いペンギン
だからテトラポットを慎重に
飛んで移動する

ボクは泳ぎの下手なペンギン
だから釣り糸で魚を獲ろうとする

ボクは不器用なペンギン
今日の釣果はゼロ

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神話崩壊 (1999年10月発表作)

原発は安全だ
呪文の様に唱えていた
あの神話は何だったんだろう?

アメリカのスリーマイル島の事故の後も
旧ソ連のチェルノブイリの事故の後も
日本は違うから安全だ
そんな事を言っていたはずなのに
臨界事故は起きてしまった

もんじゅを始め動燃の事故でも
隠された
嘘の安全だった

そして小さな原発の事故は
新聞の記事を拾ってみても
しょっちゅう目にする様な気がする
それでも政府は言うのだろうか
呪文の様な
原発は安全だと言う経文を・・・

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金曜日のワイン (1999年10月発表作)

金曜日
僕はワインを
一つ買う

特別な日じゃ
ないけれど
僕はワインを
一つ買う

するとなんだか
週末が
楽しい日々に
なりそうで
スキップしながら
帰ってた

するとワインも
僕の手の
中でタプタプ
歌ってた

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