By Project マッコウクジラ
現代系短歌・・・というテーマで、31字位で定型にこだわらないをコンセプトに作ろうと思った短歌集です。定型以外の短歌は、自分自身あまり発表の場を持っていないので、HPで掲載でもしようかな・・・と思っています。
獣の記憶 | 脳内ヌード | レアメタルな太陽 |
レアメタルな太陽 (H14 第45回短歌研究新人賞:一次予選通過作)
空は空の為準備している塵の数風で舞い上げる
吸い込んだ空気7酸素3少々二酸化炭素
遠ざかるジェラシーは僕の中で目覚めるファウストのなせる技か
勝手にパラレルする僕を止められないシリアルな常識社会
換気扇くるくる僕の視線ぐるぐるなんにもない過ぎる時間
火星の赤真紅の赤その原因は火星人のたこの色赤
イオンはマイナスプラスを繰り返しながら僕の体内
アンモナイトしか知らない白亜紀の記憶化石となりただ無言
このまま許して許されて流されて記憶の中に揺れる
マイナーモードの僕の顔なんにもなくてただの僕の顔だけ
朝昼晩その次に正直は内面の素顔表に出せず
絶対零度の非情溶かせない溶かせない溶かせない飲んでやる
たまには爆走天使になりたくて峠道2車線で飛ばす
地球が丸い事自覚させられる空と海ならんで東へ
くだらねえって思ったらそうなっちまうだからもっとラララ
最近のマイブーム困った時象の声出すパオ〜ンパオ〜ン
真夜中聞こえてくる暴走族のパラリロパラリロあ〜眠れない
殺人者(マーダー)の細胞隠す僕の爬虫類の脳はサブマシンガン
籠の鳥より森の鳥僕は自由な青い鳥ってトラバーユ
うふふでもあははでもいいからそんな君としてみたいぱぴぷぺぽ
バキュームカーの匂い気にならないだって車の窓閉めてるから
アンドロメダへ行ったんだ夢の中だけどねけど楽しかったんだ
ヴィーナスは満月の夜にだけ生きる女の子宮からの鼓動
脳の中にある取り出せない僕の中の秘密の扉の謎
青空は果ての果て僕の探すディスカバリーはきっとこの先に
なにもない同じそんな時間ただ過ぎてゆく僕は今日も一人
笑っている顔その中に隠している本音今日も気付かれぬまま
マテリアルワールドを作り上げる僕の中の欲望の坩堝
何もない時南中角度から僕を照らすレアメタルな太陽
僕だけの記憶はファルコンになってセルレアの空へ消えてゆく
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脳内ヌード
アナログの肉体はデジタルの社会の中をクロールで泳ぐ
みずいろしかない快晴の空に浮かぶ上弦の月の白一つ
ニュートンの法則を破りストライド幅を大きくとって走る
頭を怪我しCTスキャンを撮られ脳のヌードを医師に公開
街に出た顔に包帯つけたままいろんな温度の視線を浴びて
世紀末ミトコンドリアは何処へと導き出そうとしているのか
空にジグソーパズルばらまき大きな鰯雲ゆっくり東へ
輝く星のいくつかは人間が作り出した星のようなもの
不足した水は四次元をくぐり洪水となっておしよせてくる
逃げ出したいのに逃げ出せない自分も常識の額縁の中
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獣の記憶
吐き出した空気よりも希薄で中身のない月曜日の夕暮れ
菜の花畑黄色の菜の花畑僕の視界も黄色だけ
無意識に望まれて発信している個人のマルヒ機密事項
僕は今トンビが描く同心円の影の中に存在する
新宿の地下街はメビウスの輪となり地上への行方を阻む
やさしさの仮面の中に冷めている人格一つ隠して今日も
三日月はヴェニスのゴンドラとなり星空の案内人となる
思い切りドラム缶を蹴ってみた青い靴に錆が少しついた
クローン羊ドリー的双子姉妹の区別が出来ず苦笑い
マテリアル社会の中に奪われる今日の僕の生きている時間
将来の結果恐れて何になる僕の人生一度の人生
今シャッターの中に赤道からやってくる波を閉じ込めている
体の中から煮えて沸騰しそうな大地そして青すぎる空
ちぎれ雲の影がくじらのように太平洋をゆっくり泳ぐ
何度も打ち寄せて波が消そうとしている人間の気配
もがいて絞り出そうとするDNAに眠るミッシングリング
僕の瞳のブラックホールに吸い込まれてゆく瞬間の景色
永遠に同じ場面のない流れる時間の中を生きている
直線の多い都会のパノラマへと飛行機静かに下りてゆく
本心でない「はい」を言ってしまう僕は今日もガリレオになれない
机に這う虫窓の外逃がし自由になりたい自分を重ねる
マイカーにはガソリン僕は烏龍茶満タンにする真夏の午後
森に分け入るほどに湧き上がる獣だった頃の記憶
ジュラ紀だった頃僕はどんな恐竜として生きていたんだろうか
僕もガイアを傷付けている癌細胞の一つかもしれない
闇を進む客船は次元の彼方ファロスの燈台を目指す
疲れて早く寝る僕は今晩バクにたくさんのエサを与える
有限の体内時計贅沢に使って過ごす何にもしない日
パソコンの時間表示がトリプルファイブになる5時55分
滅びゆく細胞を従えて時の迷路を今日も旅してゆく
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